iPhone で Kodachrome のルック:RAW から作るクラシックなスライドの色
「あの昔の色」と言うとき、みんなが思い浮かべているのが Kodachrome です。深いシャドウ、温かな黄金色の光、輝く赤、青いままの青。半世紀分の National Geographic の表紙と、家族のスライド上映会。2010年に姿を消しましたが、欲しがる人は後を絶ちません。ここでは、そのルックを作ったものと、iPhone の RAW から手に入れる方法を紹介します。
Kodachrome のルックとは、豊かでコントラストの高いスライドの色。深いシャドウ、力強い赤と緑、黄金色のハイライト、濃い青、そしてごく細かい粒状感です。 iPhone なら、RAW で撮り、Kodachrome をもとにしたフィルムで現像すれば手に入ります。Chobial では、Kodachrome 64 の公開データシートから作った Heritage がそれです。
Kodachrome の短い歴史
Kodachrome は1935年に Kodak が発売しました。発明したのは Leopold Godowsky Jr. と Leopold Mannes。副業で化学をやっていた2人の音楽家です。これほど1930年代らしい文もないでしょう。カラーリバーサルフィルムで、現像したフィルムがそのまま写真、つまり映写機用のスライドになります。
- 1935年: Kodachrome 登場。まずは映画用、続いてスチル用に。
- 1973年: Paul Simon がこのフィルムの歌を発表し、世界中がその名を口ずさむことに。
- 1974年: Kodachrome 64 と最後の K-14 処理が登場。多くの人が思い浮かべるのは K64 です。
- 1984年: Steve McCurry が National Geographic のために撮った アフガンの少女 も Kodachrome。
- 2009年: 6月22日、Kodak が製造を終了。
- 2010年: McCurry が最後に製造された1本を撮影。現像できる最後のラボ、カンザス州パーソンズの Dwayne's Photo が12月30日に最後のロールを現像。
Kodachrome のルックを作るもの
Kodachrome は中身が変わっていました。ほかのほぼすべてのカラーフィルムと違い、乳剤にカプラーが入っておらず、色素は現像中に1層ずつ加えられたのです。おかげで現像は悪夢のようでしたが、並外れてシャープで微粒子な画像と、長持ちする色素が生まれました。暗所で保管された Kodachrome のスライドは、何十年も色を保っています。ルックを分解すると、こうなります。
- コントラストと深いシャドウ。 リバーサルフィルムなので、コントラストは組み込み済み。影は暗く落ち、写真がずっしりと感じられます。
- 温かく黄金色のハイライト。 日差しは真昼でも午後遅くのように見えます。
- 力強い赤、豊かな緑とマゼンタ。 赤こそ Kodachrome の色。バス、電話ボックス、口紅、灰色の通りの赤いセーター。
- 深いままの青。 空は淡いシアンではなく、濃く暗くなります。
- ごく細かい粒状感。 Kodachrome 64 は低感度フィルムで、粒子はほとんど見えません。
- 音量ではなく品。 McCurry は、派手に見えるほかのフィルムと比べて、Kodachrome には「詩があり、柔らかさがあり、品がある」と語りました。パンチはあっても、彩度スライダーを100にしたのとは違います。
Kodachrome フィルターが物足りない理由
「Kodachrome」フィルターの多くは、仕上がった HEIF を暖かくして彩度を上げるだけ。すると Kodachrome なら落ち着かせていた色まで含めて全部がオレンジで騒がしくなり、iPhone がすでにトーンマッピングした空も飛んでしまいます。このルックを支えているのは、色ごとに違う動き方と、リバーサルフィルムが RAW の段階から組み込むコントラストです。Velvia フィルターと同じ問題で、一般論はiPhone のフィルムシミュレーションにあります。
Chobial で Kodachrome のルックを得る
Chobial には Kodachrome の領域をカバーするスライドフィルムがいくつかあり、アプリではそれぞれこう説明されています。
| フィルム | アプリ内の説明 | 出どころ | 無料か Pro か |
|---|---|---|---|
| Heritage | クラシックなリバーサルの色:豊かな緑とマゼンタ、黄金色のハイライト、深いシャドウ | Kodachrome 64 のデータシートがもと | Pro |
| Postcard | 濃密なリバーサルの色:赤は残り、緑は沈みます | Chobial 独自 | Pro |
| Clear | 現代のリバーサル:鮮やかな緑と青、温かなハイライト | Kodak Ektachrome 100D のデータシートがもと | 無料 |
| Landscape | 強く押し出したリバーサル:深い青と、燃えるような赤とオレンジ | Fuji Velvia 50 のデータシートがもと | 無料 |
まずは Heritage から。Kodachrome 64 の公開データシート(フィルムが光の色ごとにどう反応し、各層がどれだけの濃度で現像されるか)を、フィルムの露光と現像のシミュレーションにかけ、その結果を開いて変えられる Chobial のフィルムとして合わせ込みました。詳しくはフィルムの作り方へ。
- Heritage を装填する。 ダイナミックアイランド横のフィルムバッジをタップするか、画面を横にスワイプして Heritage を出します。
- いい光の中で RAW で撮る。 Kodachrome 64 は太陽が大好きな低感度フィルム。低く温かい光と、何か赤いものを探しましょう。
- ハイライトに合わせて露出する。 スライドのルックなので、飛んだ空は飛んだまま。 コントロール › ガイド › ゼブラ をオンにして、空からゼブラが消えるまで画面を下にドラッグします。影はフィルムが深くしてくれます。詳しくはiPhone でフィルムカメラの設定へ。
- ISO は低く。 露出ラインの ISO をタップして低く設定します。高くすると、増感したロールのようにフィルムの粒子が育ちます。それはあまり K64 らしくありません。
- あとで調整する。 写真を開いて 編集 をタップし、 フィルム ツールで強すぎるなら 強さ を下げるか、Postcard や Clear をタップして比べます。写真は毎回 RAW から再現像されます。
- 記憶の中のスライドにする。 フィルムエディタで Heritage から新しいフィルムを作り、赤を強めたりハイライトを暖めたり。自分のフィルムを作るをどうぞ。
Heritage は Pro フィルムです。撮影と現像は好きなだけ、写真を保存するには Chobial Pro が必要です。サブスクリプションなしでスライドのルックがほしいなら、Clear と Landscape は無料で保存できます。
Mama, don't take my Kodachrome away
Kodachrome は戻ってきません。作るのも現像するのも難しすぎます。でも、このルックはいつだって化学より光と色の話でした。そして RAW ファイルには、どんなスライドよりも多くの光と色が詰まっています。温かな光と、赤いドアと、深く青い空を見つければ、きっと分かるはずです。
Kodak、Kodachrome、Ektachrome は Eastman Kodak Company の商標です。Fujifilm と Velvia は富士フイルム株式会社の商標です。National Geographic は National Geographic Society の商標です。Chobial のフィルムは独自のもので、Chobial は Kodak とも Fujifilm とも提携していません。
よくある質問
Kodachrome はどんな描写ですか?
豊かで温かくコントラストが高く、深いシャドウ、力強い赤、黄金色のハイライト、そしてシアンに転ばず深いままの青。パンチがあっても派手ではありません。最後に製造された1本を撮った Steve McCurry は、ほかのフィルムにはない柔らかさと品があると語っています。
Kodachrome はまだ買えますか?
いいえ。Kodak は2009年に製造を終え、現像できる最後のラボだったカンザス州パーソンズの Dwayne's Photo も2010年12月30日に処理を終えました。未現像のロールは、いまではモノクロとしてしか現像できません。
iPhone 用の Kodachrome フィルターはありますか?
その名を冠したフィルターはありますが、たいていは仕上がった写真を暖かくして彩度を上げるだけ。Chobial の Heritage フィルムは Kodachrome 64 の公開データシートをもとにしたもので、RAW に適用され、ファインダーにライブ表示されます。Kodak の製品ではなく Chobial 独自のフィルムです。
Kodachrome の現像はなぜそんなに難しかったの?
Kodachrome のフィルムにはカプラー(発色剤)が入っていませんでした。色素は現像中に1層ずつ加えられ、その複雑な処理(1974年からは K-14)を行えたのは、ごく一部の専門ラボだけでした。
いま Kodachrome にいちばん近いフィルムは?
同じ仕組みのものは販売されていません。Ektachrome のような現代のリバーサルはもっとクリーンでクール。iPhone なら Chobial の Heritage がいちばん近く、より濃く赤いスライドなら Postcard、現代の Ektachrome 風のスライドなら Clear があります。